半分、苦笑い。

先日、作業スペースを広げたいと作業所の2階を片付けることにしました。

とはいうものの、そこに山積みされたモノの多さに、まずはため息が出ます。 


親や祖父母の仕事道具や先人が使用した農具は、それが何なのかもわからないものもあり、埃を被ってどこまで処分して良いものか、躊躇しつつの作業です。錆びた金物に目をやりながら、「要る」「要らない」の振り分けに時間ばかりがかかります。


親に立ち会ってもらい作業を再開。私の「この道具は何に使っていたのか」に対する親の答えから、当時の暮らしが浮かび上がってきます。電動のこぎりがでる前の、建築のために細分化された刃物の数々。家を建てるのに山から切り出した木を引く金具など、多くの事を自分たちの手で、道具さえも工夫し切り拓いてきた人間の姿が浮かんできます。


少し前に、大正期の新潟の水害について調べた際、そこでも築堤から防災、避難誘導、災害への対応など、地域住民が力を集結し工夫を重ね対応していたことを思い出しました。


「自分たちでやるしかなかった」時代から生まれた道具には、創造力と知恵と手仕事の技術がギュッと詰まっています。そこには必然から生まれた輪郭の美しささえ漂います。


埃を被ったモノたちに文句ばかり言っていたことに、なんだかすまない気がして、いくつかの道具を取り出し水洗いして布でふき、とりあえずは捨てずに次の使い道を考えることにしました。捨てようと思って臨んだ片付けのはずなのに、逆に面倒を見るものが増えてしまったと、半分苦笑いの気分です。


里山BOTANICAL

新潟のデザイン会社 U・STYLEが立ち上げたローカルブランド。上越市安塚にある小さな素材を丁寧にひろいあつめながら、里山の価値やストーリーを伝えていくプロジェクトです。

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